空き家の発生を抑制するための特別措置法の改正について
こんにちは!
さいたま市の不動産売却相談センターの中村です。
「空き家」が全国で増加しており、大きな問題になっています。
空き家の取得原因の過半は「相続」によるものです。
相続した一定の空き家を譲渡する場合のインセンティブとして、「空き家の発生を抑制するための特例措置(3,000万円特別控除)」が設けられており、本特例措置は令和5年度税制改正において要件拡充等がなされました。
今回は、空き家の現状と本特例措置に関する改正内容を解説したいと思います。
空き家の現状と空き家法
仕様目的のない空き家
わが国では、人口減少等を背景にして全国的に空き家が増加しています。
このなかでも二次的利用、賃貸用又は売却用の住宅を除いた長期にわたって不在の住宅などの「使用目的のない空き家」は、この20年で約1.9倍に増加し、その数は349万戸に及びます。
空き家はそのまま放置されることにより、「老朽化し危険な状態となる」、「害獣が住み着く」、「街の景観を悪化させる」といった安全、衛生、景観面等において周囲に様々な問題をもたらすおそれがあります。
このように全国で空き家問題が深刻化する中、国を挙げて空き家対策を推進するため、平成26年に「空き家等対策の推進に関する特別措置法(以下「空き家法」といいます)」が制定されました。
これは、状態が悪く周囲に著しい悪影響を及ぼす空き家。いわゆる「特定空き家」に対応することに主眼を置いた法律です。
しかし、特定空き家になってからの対応には限界がありました。
このような状況から空き家法の改正案が提出され(空き家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律)令和5年6月に成立・公布されました。
改正された空き家法は空き家が特定空き家になる前に活用や管理を促し、また、特定空き家への措置をさらに充実させるもので、令和5年12月13日から施行されています。
「空き家の発生を抑制するための特例措置(3,000万円特別控除)」とは⁉
国交省の空き家所有者実態調査によると、空き家の取得理由の約55%は「相続」によるものだそうです。
相続は不可避的に発生するもので、相続人は活用意思の有無にかかわらず空き家を所有することになります。
その結果、相続した空き家を活用せずにそのまま放置してしまい、状態が悪化するなどして空き家が周囲に悪影響を及ぼしてしまうケースが一定数存在します。
相続等により取得した空き家を早期に市場に流通させ、活用を図るための政策税制として、平成28年に「空き家の発生を抑制する特例措置(3,000万円特別控除)」が創設されました。
本特例措置は、被相続人の居住の用に供していた家屋(昭和56年5月31日以前に建築されたものに限ります。)とその敷地を相続又は遺贈により取得した相続人等が相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日までに、当該家屋または当該家屋とその敷地を一定の要件を満たしたうえで譲渡した場合には、その譲渡所得から3,000万円を特別控除するものです。
本特例の対象は、あくまでも被相続人が居住していた家屋が相続の発生により空き家となる場合に限られます。
また、被相続人の居住の用に供していた家屋に限定されます。
そして今般、令和5年度税制改正により、本特例措置は更なる要件拡充がなされることになりました。
令和5年度税制改正による要件拡充
令和5年度税制改正以前(令和5年12月31日以前の譲渡が対象)において、本特例措置を受けるためには、「譲渡の時までに」売主が、当該家屋を耐震改修すること、または当該家屋の解体を行う必要がありました。
この点、令和5年度税制改正により、令和6年1月1日以降の譲渡については、「譲渡のときからその翌年2月15日までに」家屋を耐震改修または解体した場合、つまり買主が譲渡のとき以降に当該家屋を耐震改修または解体した場合についても、本特例措置を適用できることとなりました。
これにより、売主の費用負担が発生することはなくなりました。
まとめ
今回解説した「空き家の発生を抑制するための特例措置(3,000万円特別控除)」の利用により、相続等で取得した空き家を早い段階で売却する件数が増加しました。
空き家等を相続等で取得したものの、どうしたらよいのかわからない。
あるいは、遠方にいるために空き家の管理まで手が回らないなどで、お悩みのかたは、お気軽にご相談ください。
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