任意売却の基礎知識Ⅱさいたま市の不動産売却相談センター | さいたま市で不動産売却に関するブログを随時更新し有益な情報を発信

前回、お話ししたように、ローン破綻の解決策は、ある段階を過ぎると「競売」「一括返済」「任意売却」の三択となります。

一括返済ができるような経済状態であれば最初からローン返済が滞ったりしないはずですから、どこからか救世主が現れない限りは、「競売」か「任意売却」という選択になることが多くなります。

最近はローン破綻の事案が増えてきたこともあり、任意売却についての理解も広まってきましたが、以前は「ローンが払えなくなったら競売しかない」と考える人が一般的でした。そのため、「任意売却を選択しておけば、もっと高く売れたのに」というケースが多くみられました。

「任意売却」とは、競売のように裁判所を介在させることなく、自分の財産を「任意で」売却するものです。

競売は、強制的に落札され、売られてしまうのに対して「任意売却」は自分の意思で売る点が異なります。

競売は裁判所の権限で強制的に不動産を処分する仕組みの為、所有者の意思とは無関係に売却が進められていきます。

そのため、落札金額に納得がいかないまま立ち退くことも少なくありません。

しかし、「任意売却」は、所有者が売り手として通常の不動産売買と同様に関与することができるため、納得して家を手放すことができます。

そして、一般的に「任意売却」は競売よりも高く売れる可能性があります。

債権者との話しあい次第によっては、引っ越し費用を確保したり、売却後の残債を有利な条件で返済したりすることが可能です。

コスト面でも「任意売却」は競売よりも費用が少ないことが多くなります。

任意売却のお客様になり得るのは、以下の条件に当てはまる方です。

①は倒産、リストラ、病気やケガ、離婚などでローンの返済が困難になった人のことです。ただし、状況によっては、ローンにリスケや借り換えなどで対応が可能なケースもあります。

②は「ローンの残っている家を売りたいが、不動産会社から断られた」という人が該当します。「ローンの残債を上回る価格で売れそうにない」という理由で断られる場合がほとんどです。

③は住宅ローンの返済が滞ったり、税金を滞納したりして督促状が届いた場合や、それが進んで「期限の利益の喪失通知書」が届いたり、債権者から代位弁済の通知書が届いたりした人たちです。後になればなるほど、対応にかけられる時間が少なくなります。

④は裁判所から競売開始決定通知書が届いた人の場合です。さらに進んで執行官が家に調査にきて、慌てて任意売却の相談にみえる方もいます。残された時間は少ないですが、まだ、任意売却の可能性はあります。

⑤は住宅ローンに限らず自宅もしくは所有不動産に担保がつけられていて、不動産を売却しても全額返済ができない人の場合です。

会社経営や連帯保証債務で所有不動産に事業融資等の担保がつけられていて、売るに売れない状態ですが、任意売却であれば、競売になる前に売却できます。

任意売却のメリットを挙げてみます。

①は任意売却の最大のメリットと言えるかもしれません。

競売は市場価格の７〜８割になってしまう場合が多くありますが、任意売却は経験豊富な担当者が現実的に売れやすい価格をつけて提示するため、機械的に入札者の中で最高値を付けた者が落札する競売よりも高く売れることが多いです。

最近の競売市場は高騰しているので、必ずしも競売が安くなってしまうと言い切れませんが、任意売却は市場価格での取引となるため、早く・高く売れる可能性が高いです。

②競売では望めないメリットです。債権者の同意が必要なため、確実に得られる保証はありませんが、現実的な範囲内の金額であれば、認めてもらえることは多いです。これがあるとないとでは、家を立ち退く時の気持ちがまるで違います。

③は「家を手放す」と決めたら、いつまでも引きずるよりも、次の人生を歩み始めたほうが良いと思います。任意売却は買い手がつけばすぐ売買が成立します。

④債権者と任意売却を進める中で、生活状況等の告知ができるので、任意売却後の無理のない返済計画がある程度立てられる場合が多く、生活設計がしやすくなります。

⑤任意売却は競売と違い、宅地建物取引業に基づいて売買契約が行われるので、買主側と引き渡しの時期について相談できます。競売の落札時期を超えない範囲で債権者と話し合うことで引っ越し時期も調整でき、引っ越し先の斡旋や引っ越し業者、残置物撤去業者の紹介も担当者に相談できます。

⑥は競売と大きく違う点です。

競売は強制的に売却されてしまい、占有し続けると強制退去になりますが、任意売却は自分の意思で売却し計画性を持って引っ越しを進めることができるため、追い立てられることなく自発的に新生活に向かうことが可能になります。

⑦は任意売却ならではのメリットです。

競売の場合は、競売開始決定後の配当要求公告で物件が競売になっていることが情報公開されてしまいます。インターネットや新聞でも情報公開されるため、競売物件になっていることが周知されてしまう可能性が高いです。

⑧売却にかかる経費は売買代金の中から控除したのち、残額が債権者に配当されるため、売主が手出しで経費を払う必要はほぼありません。

認められる控除項目には決まりがあり、債権者との交渉が必要ですが、一般的な必要経費に関しては、ほぼ認められます。

「任意売却」を選択するお客様は、多くの場合「これでダメなら競売しかない」という切羽詰まった状態にあります。そのようなお客様に寄り添い、お客様と債権者の双方にメリットのある解決策を導くことが、私たちに課せられた義務と考えています。

最後まで当社のブログをご覧いただきありがとうございました。

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