2023年 賃貸市場のキーワード(さいたま市の不動産売却)

query_builder 2023/04/30
相続住み替え空き家
賃貸市場のキーワード

いつも、さいたま市の不動産売却相談センターのブログをご覧いただきありがとうございます。


前回に続きまして、今回は2023年の賃貸市場についてお伝えいたします。


キーワードは「ファミリー向けの需要増」です。


新型コロナウイルスの感染拡大から3年が経過しました。賃貸住宅市場は単身者の動きの鈍さなどから停滞が続いてきましたが、行動制限の緩和に伴い、ようやくコロナ前の業況水準に近付きつつあります。そうした中で、2023年のトップシーズンを迎えてますが、業況回復をけん引するキーワードとして「ファミリー向け物件の需要増」を挙げたいと思います。


●業況回復傾向は維持・2023年1~3月期も上昇の見通し


まず、アットホーム(株)の「地場の不動産仲介業における景況感調査」

から首都圏・近畿圏の賃貸仲介の業況推移を見てみましょう。

業況判断指数は43.0(前期比0.5ポイント減)とわずかに下落し、近畿圏では41.6(同2.5ポイント増)と上昇しました。コロナ禍の影響に加えて物価高など経済的な不安要素がブレーキとなったものの、前年同期比は首都圏で7期連続、近畿圏で2期連続の上昇となりました。2021年後半からの業況回復傾向は推移していると見てよいでしょう。

不動産会社からは「物価上昇で今より安い家賃で探すお客様が増えた」といった声が聞かれますが、「転勤など人の動きが戻ってきた」「住まい探しにもウィズコロナが定着してきた」という声も多く、前向きな見方が目立ちます。また見通しも、首都圏49.6、近畿圏50.7と、両エリアとも今期比で上昇が見込まれています。こうした賃貸の業況回復をけん引するのは、ファミリー向け物件の需要増だと思います。

建築費の上昇などを背景に新築分譲マンション価格が高騰、それに伴い既存マンションの価格も上昇しております。

仲介現場からは「平均的な年収世帯では購入が厳しくなり、賃貸へのシフトが見られる」という声が多く、特にマンションの購入を検討する若い夫婦などの選択肢として、ファミリー向け賃貸物件の需要が高まっています。またコロナ禍以降、テレワークの定着などで在宅時間が長くなり、広さや部屋数を求める傾向が強まったこともファミリー向け物件の人気を後押しする理由となっております。不動産会社からも「仕事や趣味のスペースを確保するためプラス一部屋を求めるお客様が増えた」という声が多いです。


●シングル向けとファミリー向けで家賃上昇率に差


こうしたニーズの変化は、マンションの募集家賃にも表れています。アットホームの「全国主要都市の賃貸マンション・アパート募集家賃動向」によりますと、2022年12月のファミリー向けマンションの家賃は、東京23区・大阪市ともに2015年1月の調査開始以降最高値となっており、特に東京23区は5ヶ月連続で最高値を更新しています。

2022年12月の東京23区のファミリー向けマンション(50~70㎡)の平均家賃は20万2905円で、前年同月を5.8%上回っています。シングル向け(30㎡以下)も上昇はしていますが、上昇率は1.3%にとどまり、ファミリー向けがシングル向けを4.5ポイント上回りました。大阪市も、マンションの平均家賃は両タイプともに前年と比べ上昇していますが、ファミリー向けマンションの上昇率は7.1%と、ここでもシングル向けの4.3%を2.8ポイント上回っています。


●転勤・学生など、都心部での住まい探しが回復


2023年の募集家賃につきましては、2022年と同程度からやや上昇と予測されます。その要因の一つは、前述のファミリー向け物件の人気であります。住宅価格の高騰に加え、日銀の金融政策の変更により住宅ローン金利が上がる懸念から、購入検討者が賃貸に切り替える動きが加速し、需要の増加に伴って家賃は上がると見ています。すでに不動産会社からは「売買価格の上昇に伴いファミリー向けの賃貸も値上げ傾向」との声が出始めています。二つ目の要因は、5月に予定されている新型コロナの5類移行など行動制限の緩和がさらに進むことであります。これにより転勤や学生の一人暮らしなど、都心部での住まい探しの回復が期待できます。また、依然として続く建築資材等の高騰も、特に新築物件の家賃を引き上げる要因となるでしょう。

ただし、上昇要因ばかりではありません。相次ぐ生活必需品の値上げや収入の伸び悩みなどで家賃を安く抑えたいと考える消費者が増えています。また、一時より減ったもののテレワークを継続している企業は依然多く、コロナ前ほどは住み替えが活発でなくなっています。そのため、シングル向けや競争力の弱い物件は空室が続き、家賃を下げて募集せざるを得なくなることも考えられます。

ちなみに、前述の景況感調査では、2023年の家賃予測について質問をしています。そのうち首都圏および近畿圏の不動産会社の回答を集計すると、「変わらない」(60.7%)が最も多いものの、「上がる⤴」(20.6%)が「下がる⤵」(18.7%)をわずかだが上回りました。


●「飲食店可」貸店舗の募集賃料は上昇傾向


最後に、賃貸市場の中で、貸店舗の動きにも注目してみたいと思います。アットホームに公開された東京23区と大阪市の50坪以下の飲食店可貸店舗物件における募集動向の推移を見ていきます。

飲食店向け貸店舗の動向は、人の動きの影響を大きく受けます。コロナ禍で行動制限が強いられた2020年は、閉店に伴う退去が増え、募集物件(空き店舗)が特に東京23区で急激に増加しました。その後、2022年にかけてはワクチン接種率の高まりに伴い感染が落ち着き、制限が緩和されるにつれて人流が回復したことから、募集物件の増加傾向も落ち着きつつあります。

募集賃料については、東京23区・大阪市ともにコロナ前の2019年から上昇傾向にあります。ただし、コロナ前と今では賃料が上がる要因が異なります。

貸店舗を扱う不動産会社の声を聞いても、コロナ前の2019年頃には「飲食店は平均賃料を上回っても申し込みが多い」「店舗を探す外国人が多い」など、多様な需要が家賃を引き上げている様子がうかがえました。それに対して、2022年には「賃料が高めの物件が決まりにくくなり、問い合わせが多いのは狭くて安い物件」といった声が目立ちました。コロナ以降の賃料上昇は、賃料の高い物件が解約され募集物件に占める割合が増加したことが一因と考えられます。

物価高のため経営コストを削減し、小規模で開業する店舗は今後も増えるでしょう。そうすると2023年も高賃料のテナントが市場に出回り、平均募集賃料は高止まりすると思われます。ただ、コロナの5類移行に伴い出社率の上昇をはじめ人流が活発化し、飲食店が積極的に出店するようになれば、募集動向も変わってくるでしょう。

今年は変化の多い1年となりますが、その変化が住宅・店舗ともに賃貸市場に良い影響をもたらすことを期待したいと思います。


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大宮駅西口では、再開発やオフィスビルやホテルが建設され、ますます賑わいのある人気の街になるでしょう。


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