「暦年贈与」とは(さいたま市の不動産売却)

query_builder 2022/12/03
相続
暦年贈与 イラスト

こんにちは。さいたま市の不動産売却相談センターの川又です。

今回は、「暦年贈与」についてお伝えしたいと思います。


毎年100万円ずつ、10年間で1000万円を贈与しても、基礎控除110万円以内の贈与なので贈与税は一切かかりません。このように、長年にわたって贈与税を回避しながら贈与するのが「暦年贈与」です。


それに対して1000万円を一括で子供などに贈与した場合は、177万円という多額の贈与税がかかります。

しかし、暦年贈与をしても、「名義預金」や「定期金の贈与」とみなされると、思った以上の贈与税が課せられることになります。

そうならないように、以下のことに注意しましょう。


●名義預金とみなされないために


口座を開設して暦年贈与を行う場合は、口座の存在を必ず受贈者(子供や孫)に知らせておいて、通帳も印鑑も受贈者が管理することが大切です。こうすれば、名義預金とみなされることは避けられます。

コッソリ預金をしてあげて、後で驚かせてあげようとするのは、大間違いです。逆に受贈者は、贈与税を請求されて驚くことになります。


●定期金の贈与とみなされないために


毎年、同じ日(子供の誕生日など)に、同額を贈与するケースはよくあります。このような場合、贈与する額が決まっているので、まとまった金額を贈与する予定だったと判断され、定期金の贈与とみなされてしまう可能性も秘めています。

これを避けるには、贈与契約を取り交わし、証拠を残すことです。そして、時には贈与の形を変えて、株式で贈与する、金額を変える、休止期間をはさむといったことが有効です。

あるいは、110万円を超える贈与をしたりして、最低税率(10%)の範囲内で贈与税を納めるのもいいでしょう。


●相続発生に注意


相続開始前3年以内に行った贈与は、「みなし相続財産」とされ、相続税の対象になります。

相続は、いつ発生するかは誰にも分からないので、早めに贈与しましょう。



*2022年の相続ルール再改正で、暦年贈与の廃止について、2022年度の実施は見送られましたが、近い将来廃止される可能性があります。。

早めに贈与するのが得策です。


近年、「相続・贈与の一体化」というテーマで議論が重ねられています。

どういうことかというと、相続で財産を渡す「遺贈」の場合も、贈与で財産を渡す「生前贈与」の場合も、かかる税金の額を同じにしようという発想です。欧米では、既にこうした税制がスタンダードです。


議論の背景にあるのは、高齢化です。

日本では、高齢世帯に資産が偏って存在しているだけでなく、相続によって資産が次の世代に移るタイミングも遅れがちです。その結果、高齢者と若者の資産の格差は広がるいっぽうであるという危機感が広まっています。

そこで、相続税や贈与税の仕組みを改めて、高齢世帯の資産をより早い時期に若い世代に移し、経済の活性化につなげようというシナリオです。

現在の相続税・贈与税のどこが問題で、どう改めようとしているのか、詳細については、まだ明らかになっておりません。

最新の情報がわかり次第、お伝えさせていただきます。


可能性として考えられるのは、次のような点です。

・持戻し期間の延長

持戻し期間(相続開始前3年以内)に増加した財産は相続財産に含まれるという決まりがあり、相続税が課せられます。駆け込み贈与を避けるための規制ですが、欧米では贈与も相続も同じ非課税枠でカウントするという発想で、この期間を7~15年とする国が多くなっています。

・相続時精算課税制度に一本化

持戻し期間を延長する代わりに、近い将来、暦年贈与は廃止し、相続時精算課税制度を軸にした課税方式に一本化されるかもしれません。

相続時精算課税制度は、そもそも贈与税と相続税を一本化させた仕組みなので、理にかなっています。

暦年贈与の基礎控除の廃止時期など、まだ議論は熟していません。今後の動向を注意深く見守って行きましょう。



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